2014年12月6日土曜日

家賃が安い公営住宅のメリットと問題

離婚してシングルマザーになる事が決まったら、速やかに新居を探し始めるべきです。多くの場合、妻はこれまで住んでいた家を出て行く事になるからです。

しかし、シングルマザーの人が家を借りるのは容易ではありません。仕事と育児の両立が求められるシングルマザーは、長時間の労働は難しいため、中々正社員としては雇ってもらえません。パートやアルバイトの給料は安いので、家賃の支払いが滞ってしまうケースも珍しくはなく、賃貸契約を断られてしまう問題がよくあるのです(シングルマザーが家を借りにくい理由)。

そんなシングルマザーの悩みを解決する方法の一つが、公営住宅です。公営住宅とは、地方自治体が運営する、低所得者向けの賃貸住宅の事です。公営住宅の最大のメリットは、居住者の世帯所得・住宅の広さ・建築年数などに応じて家賃が決定される「応能応益家賃制度」になっている事です。

家賃は、世帯の収入月額から求められる家賃算定基礎額に、立地係数、規模係数、経年係数、利便性係数の4つから成る住宅係数を掛け合わせて算出されます。物件にもよりますが、シングルマザーの平均年収(181万円)で計算すると、平均的な公営住宅の家賃は概ね1~2万円程度と、極めて安くなるメリットがあります。


なお、公営住宅には所得上限が設定されていますので、収入の多い家庭が入居する事は出来ません(入居前には世帯の収入申告書の提出が必要です)。また、入居後に収入が増えて所得上限を超えるようになった場合には、住宅の明け渡しを勧告される(出て行かされる)ケースもあります。とはいえ、大多数のシングルマザーの給料は安いはずなので、再婚するまでは収入制限の問題を心配する必要は無さそうです。


公営住宅の申し込み方法と制限


公営住宅への申し込み方法は、申請書をその住宅のある市役所・町役場で貰うか、市町村の公式サイトからダウンロードして、必要事項を記入して提出すればOKです。自治体によって申し込み方法が違う場合もありますので、注意して下さい。

問題は、家賃が安いというメリット故に公営住宅への入居希望者は数多く、競争率は極めて高い傾向にあります。基本的に入居者の決定は抽選ですので、運が良ければすぐにでも入居出来ますが、場合によっては何年待っても入居出来ないという問題が生じています。

公営住宅には所得の制限はありますが、資産の制限がありません。それ故に、貯金の多い高齢者(定年退職者)でも入居可能な状況になっており、彼らが高い競争率に拍車を掛けているのです。シングルマザーのように、本当にお金に困っている人を優先すべきなのに、政治家は高齢者の方が選挙で票になる(若い女性の投票率は極めて低い)ので、この問題を放置しているのです。

唯一の救いは、シングルマザーなど所得の低い世帯が優先的に公営住宅に入居させてもらえる、優先入居制度を設けている自治体も存在することです。この制度は、シングルマザーの人だけがメリットに与れるので、ぜひ利用したいところです。ご自身の住む地域で、公営住宅の優先入居制度がないのか確認してみる事をオススメします。