2014年11月3日月曜日

調停離婚の費用と手続き

日本における離婚は、約90%が協議離婚によるものです。協議離婚とは、夫婦二人で話し合って、お互いが納得した上で離婚を決めるというものです。しかし、離婚する際には言うまでもなく、お金や住居や子供の事など、様々な問題が付きまといます。

一方が離婚を拒否している場合や、お互いに離婚は合意しているものの、財産分与や子供の親権で揉めているなど、夫婦間の話し合いでは解決に至らないケースが多々あります。こうした場合に行われる離婚の解決方法が、調停離婚です。

調停離婚とは、夫婦と調停委員2名を交えた4人で、離婚について話し合う制度です。調停離婚は家庭裁判所で行いますが、裁判と違って手続きは簡単です。裁判とは全く違う仕組みであり、弁護士を雇うなどの面倒なやりとりは基本的に必要なく、費用もほとんど掛かりません。そして、調停委員は必ず男女1名ずつで担当するので、夫側や妻側のどちらかに肩入れする事無く、中立的な立場から問題の解決を図ってくれるのです。

調停離婚の費用は、夫婦と調停委員2名だけで行う場合は、印紙代1200円と呼び出し状に貼り付ける切手代(800円程度)だけです。話し合いを弁護士に任せる事も出来ますが、その場合は高額な弁護士費用がかかります。そのため、本人同士の話し合いで決着を図るのが一般的です。

調停を行っても、どうしても溝が埋まらない場合には、最終的に裁判で解決する事になります。なお、日本の離婚問題は、家事事件手続法257条の調停前置主義という考えに則っています。

この法律の意味は、離婚でいきなり裁判を起こすのは認められていないという事であり、その前に必ず調停を行う決まりになっているのです。ただ、ほとんどの場合、調停で離婚問題は解決されるので、裁判にもつれ込む事は滅多にありません。夫婦二人だけでは感情的な言い争いになってしまいがちですが、そこを調停委員が冷静に説得する事で、円満な解決へ導いてくれるからです。

調停で養育費や慰謝料なども決めるが・・・


この調停で合意が得られ、離婚が成立した場合は、調停調書が作られます。調停調書には、養育費や慰謝料など離婚後の費用の取り決めも記載するので、これを滞納した場合には、強制執行する事も可能です。養育費や慰謝料は支払われない(支払われなくなる)ケースが非常に多いので、予め調停調書を作成しておく事は重要です。

・離婚の慰謝料は期待できない
養育費の相場と現状

ちなみに、調停は離婚をはっきりと決めている場合だけでなく、どうすべきか悩んでいる状態でも申し立て手続きを行う事が出来ます。日本でシングルマザーが生きていく事は極めて困難であり、安易に離婚すると後悔してしまう可能性が高いです。費用もほとんど掛からないのですから、離婚を決める前にはまずは調停を申請して、何とか話し合って離婚を回避出来る道を模索する事が望ましいでしょう。