2014年11月9日日曜日

離婚後の財産分与(期限など注意点)

離婚する際に夫婦で取り決めておくべき事の一つに、財産分与があります。財産分与とは、婚姻中に夫婦が築いた財産を、それぞれに分配する制度の事です。財産として扱われるのは現金だけに限らず、土地や家などの不動産、テレビや冷蔵庫などの家具、株や債券などの有価証券まで含まれます。

2007年より年金分割という制度が始まっており、夫の年金についても財産分与の対象となっています。近年は財産分与を含め、離婚後に妻側の権利が拡大しているので、シングルマザーの人達にとっては朗報ですね。

原則として、財産は夫婦で50:50で分配されます。妻が一切働きに出ていない専業主婦であった場合でも、夫を支えて家事や育児で家計に貢献したと見なされるため、財産の半分を貰う権利があるのです。

ただ、分配は必ずしも半分ずつになるとは限らず、詳細は夫婦の話し合いで決められる事になります。分割出来ない財産も多いので、例えば車を夫が引き取るがテレビや冷蔵庫などは妻が貰う、といったように決まる事も多いです。

ですが、やはりお金の問題は揉める事も多く、二人だけでは合意に至らないケースも少なくありません。そんな場合は、離婚調停で解決を図る事になります。離婚調停とは、家庭裁判所で行われる、離婚に関する問題(財産分与だけでなく、親権、慰謝料、養育費なども含まれます)の話し合いの場の事です。離婚調停では、男女1名ずつの調停委員がついて、公平な立場から問題解決を図ってくれるので、円満に離婚が進められるのです。弁護士を雇う必要も無いので、費用は印紙代と切手代の合計2000円程度で済みます。

調停離婚の費用と手続き

財産分与の注意点として、対象となる物は婚姻中に築いた共有財産のみです。例えば、結婚前に夫が既に家を持っていたという場合は、その家は財産分与としては考慮されないです。また、夫の親が亡くなって遺産が入ったという場合は、夫の特有財産として扱われるので、これも財産分与の対象にはなりません。後述する、2年という期限にも注意すべきです。

また財産分与で得たお金には、基本的に税金はかからない事になっています。収入を得れば所得税が、財産を相続した際には相続税がかかりますが、財産分与は収入でもなければ相続でもなく、元々の自分のお金を受け取っただけという扱いになるので、税金はかからないのです。

期限とローン(借金)の扱いに注意


離婚調停でも財産分与の条件が決まらない場合は、裁判にもつれ込む事になりますが、ほとんどの夫婦は離婚調停で合意が得られるため、裁判になるケースは滅多にありません。

なお、財産分与では、負債(ローン)についても分配して考えます。ギャンブルで作った個人的な借金などは別ですが、家の購入のための住宅ローン、家族で使う車を購入した際のマイカーローンなどは、夫婦二人での負債として扱われるのです。お金や物だけ貰って、ローンに関しては相手任せ・・・という事は出来ません。

ちなみに財産分与は、離婚後でも請求する事が可能ですが、期限は2年以内と決まっています。離婚してから夫と会うのはお互いに気が引けることですし、先延ばしにしていると期限切れで財産分与で貰えるはずのものも、権利が消失する恐れがあるので注意です。ですから、離婚前から夫婦で話し合っておく事が重要です。